2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

第二の人生

先日、『バタフライ・エフェクト』という映画を見に行ったので、その感想を少し書いてみたい。 このところ、僕は、アニメばかり見ていて、映画をほとんど見ていないが、少なくとも、2000年以降に作られたアメリカの映画を(以前に)いくつか見たその記憶から…

木を植えた男

カナダのアニメーション作家、フレデリック・バックの『木を植えた男』のビデオを友人から借りて見た。 僕がこの作品を最初に見たのは、高校生のときだ。深夜に放送していたのを録画して見たのだ。この作品を見るのは、それ以来である。つまり、これまで、た…

定型的な物語と新しい作品

定型的な物語を抜け出せるかどうか、それが、その作品が革新的なものであるかどうかを判断するときの大きな基準となる。『Xenosaga THE ANIMATION』をやっと見終えたのだが、この作品も、そうした定型化に完全に嵌ってしまっていた(とりわけ、その最終回の…

蘇る竜王伝説

『レジェンズ』と『陰陽大戦記』、この二つの作品には、多くの共通点を見出すことができる。 まず、この両作品とも、おもちゃ会社とのタイアップによって作られたアニメ作品である。主人公は、商品となっている玩具によって、敵と闘う(この点で、『レジェン…

傷を負った子供たち

愛とは、ある個人の固有性を重んじることである。他の人とは置き換えられない、ある個人の固有性を絶対視することである。 『新世紀エヴァンゲリオン』以降、アニメやマンガなどのサブカルチャー領域は、その様相を一変させた。『エヴァンゲリオン』以降、傷…

愛の飛躍

事実という言葉ほど、われわれを欺く言葉はない。何か出来事が起こったとしても、それは、何かが起こったというだけであって、それ以上の意味が予めそこにあるわけではない。意味づけは常に事後的に行なわれる。そして、その意味づけは、絶えず、更新され続…

なぜ闘わなければならないのか?

なぜ闘わなければならないのか? この問いが、いつの頃からか、巨大ロボットものや格闘ものといった、少年向けのマンガやアニメで問題にされ出した(昨年公開された特撮映画『新造人間キャシャーン』で、この問いが無意味に強調されていたことを思い出してほ…

日本アニメのノスタルジックな風景

ノスタルジー。この感情と日本のアニメーションとは密接な関係を持っているような気がする。ノスタルジーとは、故郷に想いを馳せることである。失われてしまったものを想起すること。過ぎ去ってしまった時間、消え去ってしまった風景を思い出すことである。 …

純愛から単性生殖へ

昨日は、純愛のことについて書いたので、今日もまた純愛の話を。 純愛の理想というのは、二人がお互いに支え合うことである。一方が他方に依存し、他方が一方に依存する。そのような循環的な相互関係を作り出すことにある。それが目指しているのは、相互承認…

君とならば行けるさ、あの虹の向こうに

近頃、様々なメディアにおいて、純愛ものがブームになっているようだが、アニメなどのサブカルチャーにおいても、もちろん、同様の傾向を見出すことができる。しかし、純愛とは言っても、そのアクセントの置きどころが他と少々異なる作品もある。つまり、純…

伝説からの堕落

前クールにTVで放送していたアニメ『BECK』をやっと見終わった。『BECK』は、基本的に、立身出世を描いた作品である。平凡な一中学生に過ぎなかった男の子が音楽(ロック)に目覚め、その才能と努力のおかげで、徐々に有名になっていくという話である。 立…

家族以上に家族的

現在グローバリゼーションなどの影響によって古くからあった地域の共同体が崩れてきているという話をよく聞くが、そうした社会状況は、様々なサブカルチャー作品にも影響を与えているように思える。現在TVで放送されているアニメ『まほらば』などは、まさ…

ニート、曖昧なカテゴリー

玄田有史+曲沼美恵『ニート』(幻冬社)を読んだ。ちょっと物足りない本だった。山田昌弘の『希望格差社会』を読んだときも物足りなさを感じたが、この本は、それ以上に物足りないものだった。 この本をざっと読んでみて分かることは、「ニート」というカテ…

ディストピアからユートピアへ

今年の3月までNHK教育で再放送していたアニメ『十二国記』(をビデオ録画していたもの)をやっと見終えたので、その感想をちょっと書いてみたい。 この作品の根底に漂っている思いとは、「私のいるべき場所はここではない」というものである。「ここは私…

高橋留美子と地方性

オタク系のアニメを見ていると、そこにひとつの傾向を見出すことができる。それは、さえない男の子のところに突然美少女が押しかけてきて、非日常的なドタバタ騒ぎが始まる、というものだ。僕はこのタイプの作品を「押しかけ女房もの」と呼んでいる。そして…