2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『孤独のグルメ』と現代人の生活(その1)――モノローグとしての孤独

この前まで続けていた『ぼくらの』論の中で、僕は、現代人の孤独というテーマを少しだけ提出してみたが、この点をもっと掘り下げてみたいと思ったので、今回からは、久住昌之原作、谷口ジロー作画の『孤独のグルメ』をテキストとして取り上げて、現代人の孤…

『ぼくらの』と倫理的問題(その10)――自分の傷つきやすさを他人にさらけ出すことができるか?

キリエの物語は二つの対話から成り立っている。ひとつはキリエと畑飼との対話であり、もうひとつはキリエと田中との対話である。 畑飼という人物は、チズの物語を論じたときにも問題にしたように、競争的関係、バトルロワイアル状況において、そこでのゲーム…

『ぼくらの』と倫理的問題(その9)――代替可能な存在のために自らの手を汚すことができるのか?

マキの物語から、あえて人を殺すということが問題になる。それは、コダマの物語で描かれていたような殺人とも、チズの物語で描かれていたような殺人とも異なる。コダマの物語で描かれていたのは、犠牲者としての人の死だった。それは、意識的に行なわれる殺…