2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『耳をすませば』について(12)

前回は、場所の問題から出発して、今日のサブカルチャー作品に顕著に見出すことができる三つの立場を概観してみた。そこで、まず、大きな対立線が引かれるのは、新自由主義的立場と互酬的共同体との間の対立である。この対立は、しばしば、再開発の波に脅か…

中心化された物語から部分的な要素の星座へ

80年代アニメの土壌 http://d.hatena.ne.jp/ashizu/20051023 実は、数ヶ月前から、このブログにアクセス解析を導入しているのだが、その結果、上記のエントリーが比較的よく見られていることが分かった。Yahoo!などで「80年代アニメ」などと検索すると、上位…

『耳をすませば』について(11)

前回は、場所とアイデンティティとが密接な関係を持つということから、風景の問題を提起した。「私が何者であるのか」ということは、「私がどこにいるのか」ということと密接な関係を持っているのである。現代の問題は、それゆえ、場所の喪失によって引き起…

『耳をすませば』について(10)

前回は、『耳をすませば』を見ていくための重要な視点として、ノスタルジーの問題を提起した。「カントリーロード」の歌によって喚起されるようなノスタルジーである。『耳をすませば』は、基本的に、ファンタジー作品であるが、そこに、一緒に、ノスタルジ…

『耳をすませば』について(9)

前回は、穴や線といったキーワードに基づきながら、現実世界と異世界との関係を素描した。異世界と現実世界との関係において重要なのは、そこにある切断と、切断された二つの世界の接着である。現実世界から何かが切り離され、それが再び、現実世界にくっつ…