2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

セカイ系における小状況の拡大

前回は、セカイ系と呼ばれる一連の作品群に見出される諸要素、とりわけ、記憶の想起という要素を問題化した。今回も、この記憶の想起という点から話を始めていきたい。 前回、偽の記憶(模造記憶)について少し言及したときに、記憶が個人のアイデンティティ…

セカイ系と記憶の想起

前回は、高橋しんのマンガ『最終兵器彼女』を取り上げて、この作品に見出すことのできる世界のあり方(日常生活とその外の世界との明確な分離)を問題にした。今回も、この点を、もっと推し進めてみたい。 『最終兵器彼女』という作品を分析するとき、おそら…

終わる予感と終わらない日常生活

近年のサブカルチャー作品において、世界の二分化という事態が起こっているということを前回指摘した。つまり、主人公たちが生活している日常世界とその外部の世界というふうに世界が二分しているわけである(自分たちの日常生活とTVの世界というふうに、こ…