定型的な物語と新しい作品



 定型的な物語を抜け出せるかどうか、それが、その作品が革新的なものであるかどうかを判断するときの大きな基準となる。『Xenosaga THE ANIMATION』をやっと見終えたのだが、この作品も、そうした定型化に完全に嵌ってしまっていた(とりわけ、その最終回の展開が)。いくら設定が複雑であっても、基本的な物語構造が変わらない限り、それは新しい作品とは言えない。その点は、『Xenosaga』の前の時間に放送していた『ジンキ・エクステンド』についても言えることである。


 現在『ガラスの仮面』のアニメが放送されているが、この作品に見出すことができる物語構造は、基本的に、そっくりそのまま、現在の様々な作品にも見出すことができる。そのひとつが『ふたつのスピカ』である。個々の作品の特殊性や、そこから出てくる魅力というのはもちろんあるが、そのような部分的な要素が革新的な力を持っている作品は、めったにない。


 こういう観点から見ていくと、前クールのアニメでは、『スクールランブル』がなかなか健闘していたと言える。この作品は、基本的にギャグアニメであるが、そこでのパロディの手法が、TVアニメの枠組みを問いただす方向に、わずかながら、進んでいた。すでに明確なパターンが確立されているTVアニメだからこそ、それをずらすことによって、形式それ自体を浮かび上がらせることができるのである(こうしたことは、モンティ・パイソンが、そのTV番組の中で試みたことである)。


 しかし、こうしたパロディ作品の残念なところは、それがしばしば、形式を相対化するだけで終わってしまうことである。『スクールランブル』は、その点、どこまで突き進むことができるのか、かなり期待させられたが、決して満足のいくところまで進んではくれなかった(最終回も、決して悪いものではなかったが、もっと滅茶苦茶なことをやってほしかった)。


 まだ前クールのアニメをすべて見終わってはいないが、期待に十分に応えてくれるような作品はおそらくないだろう(僕の期待値が単に高いだけの話だが)。今クールのアニメに期待することにしたい。