去年はまっていたゲームがいくつかある。そのうちのひとつ、『Into the Breach(イントゥ・ザ・ブリーチ)』(2018)を紹介、オススメしてみたい。
『Into the Breach』のジャンルは「ターン制ストラテジー」とか「戦略シミュレーション」に分類されるだろう。『大戦略』、『ファミコンウォーズ』、『ファイアーエムブレム』、『ガチャポン戦士』、『ネクタリス』、『スーパーロボット大戦』といったのと同系統のゲームだ。
こうした先行するゲームと比較すると、『Into the Breach』はマップもユニットも限定されていて、同じターン制ストラテジーだとしても、そのプレイ感覚はかなり違ったものになる。喩えて言うならば、「将棋」よりも「詰将棋」に近い感じだ。
やることは同じだとしても、選択の幅がぐっと狭まったストラテジーゲーム。この制限が『Into the Breach』の魅力に繋がっている。1回のプレイ時間が短くなる代わりに、似たようなステージを何度も繰り返しプレイすることになる。しかし単調なわけではない。そうならないための工夫がある。このあたりのバランス調整が見事だと言える。
システムが複雑なゲームと単純なゲームがあったとき、どちらがより面白くなるだろうか。もちろん一概には言えない。しかし一般的に言えば、選択の幅が大きくなればなるほど、ゲームの奥行きもまた広がるだろう。プレイするたびに、驚くようなことが起き、新鮮な気持ちのままプレイすることができる。逆に単純なゲームの場合は、似たような展開が起こりやすいという点で、飽きやすくなるだろう。
では、ゲームはシステムが複雑であればあるほどいいのか。もちろん、そんなこともないだろう。複雑なゲームの欠点は、ルールの習得に時間がかかる点だ。取っつきが悪く、何をしたらいいのか分からない。丁寧なチュートリアルがあったとしても、勉強させられているような感じになって、退屈になりやすい。それなりの習得期間を経て、やっとゲームが面白くなる。だからこの手のゲームは人を選ぶ。
となれば、多くの人が楽しめる理想的なゲームとは、システムは単純だとしても奥が深いゲーム、ということになるだろう。しかし、そういうゲームはなかなかない。
これは「調整」の問題かもしれない。例えば将棋やチェスのことを考えてみよう。これらのゲームの盤面がもっと大きかったり、駒(ユニット)の数が多かったりしたら、ゲームは複雑になるだろう。反対に、盤面をもっと小さくして駒を少なくしたら、ゲームは単純化する。ゲームが複雑化すれば1回のプレイ時間は長くなる。単純化すれば短くなる。ではどのあたりが妥当なのか。
もちろん答えはひとつではない。しかし『Into the Breach』は、単純化の方向に歩を進めた。ここが大きいと言える。
『Into the Breach』にはローグライクっぽさもある。そもそも、このゲームを開発したSubset Gamesは、2012年に『FTL:Faster Than Light』というローグライク系のゲームを出している。限定された状況を何度も繰り返す点は『Into the Breach』に似ている。
ゲームは、プレイヤーに同じことを何度もさせるように要求する。だから、その行為を飽きさせないために、それが違った意味を持つようにさせる必要がある。実際は同じことを繰り返させているだけだとしても、それをいかにプレイヤーに意識させないかに苦慮しているゲームもあるだろう。これに対してローグライクはむしろ、繰り返していることをプレイヤーに強く意識させるように仕向ける。
その意味で言えば、『Into the Breach』は、ローグライク化されたターン制ストラテジーと言える。単純なことを何度も繰り返させるが、そこには様々な変化がある。設定の上でも、プレイヤーは「タイムトラベラー」となり、違う時間軸を渡り歩いていく。
ローグライクが一般的にそうであるように、『Into the Breach』は、やり込みたい人はとことん、やり込める内容になっている。僕自身はそこまでの気力がなく、途中で止まってしまったが、はまる人ははまると思うのでオススメしたい。
ちなみに、参考までに書いておくと、僕がメインに使っていたパイロットはチェン・ロンだった。行動後にさらに1歩動けるスキルを持つ。このささやかな「1歩」の恩恵がとても大きい。
部隊はボンバーメカが一番使い勝手が良かった。ボマーメカとチェンジメカの能力が強力である。ボマーメカから発射されるボムは移動もできるので、行動範囲がとても広くなる。ボムは、出現する敵を抑えたり、防御に使ったりなど、攻撃以外にも使い道がある。
結局のところ、移動範囲が大きくなり、手数が増やせるようになるのが最適であるように思える。このあたりは、どういうプレイスタイルを選択するかによっても変わってくるだろう。