話題にならないアニメ

 ネットで話題になるアニメとそうでないアニメがあるように思う。例えば、『格闘美神 武龍』などは、ほとんど話題にならないアニメだろう。話題になるかならないかは、アニメのクオリティの高い/低いに比例しないように思う。『MUSASHI -GUN道-』のように、極端にクオリティの低いアニメが話題になるということがありえるからだ。


 いわゆる「萌えアニメ」は、話題になりやすいアニメだと言えるだろう。しかし、萌えアニメなら何でも話題になるわけではない。例えば、昨年放送していた『はっぴぃセブン 〜ざ・テレビまんが〜』などは、ほとんど話題にならなかったように思う。これは、U局で放送されたということが原因かも知れないが、『涼宮ハルヒの憂鬱』のように、U局で放送されたにも関わらず、大きな注目を集めた作品もあることを考えると、決定的な原因だとは言えない。


 昔、アニメ『機動新撰組 萌えよ剣 TV』の実況をネットで見ていたとき、そこで、「コメントしにくいアニメだなあ」という書き込みを読んだことがあった。アニメというものが、一種のコミュニケーション・ツールとして機能している以上、「コメントしにくい」ということは、そのアニメにとって大きなマイナス要因だと言える。その点、『MUSASHI』のように、あからさまに欠点のあるアニメは、逆に、誰もが容易にツッコミを入れることができるという点で、特徴のあるアニメだと言える。


 繰り返すが、話題になるアニメがクオリティの高いアニメとは限らず、話題にならないアニメがクオリティの低いアニメとは限らない。クオリティの高い/低いとは別に、話題になる/ならないということがひとつの価値観を形成していて、この価値観は、たぶん、われわれの消費活動と密接に結びついているのではないかと思う。つまり、ここでは、そのアニメがどれだけ他のものとリンクしているのか、ということが問題なのである。消費活動という観点から、一度じっくりと、アニメを見るということを考える必要があるだろう。