個人的にその微妙さを推したい2008年のテレビアニメ・ベスト10

『このアニメがすごい!2009』のランキング(今日もやられやく)
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マクロス
ギアス
墓場
とらドラ
00
夏目
かんなぎ
tt
ポニョ
絶望

 このランキングに取りたてて異論を出したいというのではないけれど、何というか、このランキングを見ていてもあまり面白くないというか、これらの作品だけで2008年のアニメが語られてしまうことにちょっとした不満がある。


 実際にこの雑誌を手に取ったわけでもなく、このランキングだけを見ているから、そんな不満が出てくるのかも知れないが、しかし、何かつまらない。


 それでは、果たして僕自身が納得がいくランキングとはどのようなものかと考えたときに、2008年のアニメの中で最も良いものを10選ぶというのではなく、ちょっと微妙なところもあるけれど、でも、注目点なり良いところなりがあるアニメ作品(悪いところすらも注目点になりうるアニメ作品)という、そういうベスト10というものを作ってみたくなった。以下が個人的なランキング、個人的にその微妙さを推したい2008年のテレビアニメ・ベスト10である(順不同)。


今日の5の2
黒執事
セキレイ
テイルズ・オブ・ジ・アビス
バトルスピリッツ 少年突破バシン
美肌一族
まかでみ・WAっしょい!
魔法遣いに大切なこと 夏のソラ
みなみけ おかわり
夜桜四重奏


 もちろん、これらの作品は、僕が見た範囲内で、という限定付きのものであり、他にもっと微妙な作品というものもあるかも知れない。


 そもそも、「このアニメがすごい」のランキングがどのような選別方法によって作られているのかよく分からないが、2008年に発表されたアニメをすべて見ている人などおそらくいないだろう。仮にそういう人がいたとすればそれだけで驚きであるが、やはり、どうしても、自分の見たアニメの中から選ばざるをえないのではないかと思われる。とするならば、やはり話題になっているアニメが選ばれやすいのは当然だろうし、欠点が目につくアニメというのは選ばれにくいだろう。


 テレビアニメを見る場合、どのアニメを(場合によっては第一話で)切っていくかということが問題になるが、そんなふうにアニメを見ることは、どうしても個々のアニメの悪いところに目を向けることになってしまわないだろうか。「ここが悪いからもうこのアニメは見ない」と、そんなふうに理由づけをすることによって見ていくアニメを限定してしまうのではないか。


 ひとりの人間だけでは見切れないほど多くの作品が一年間で作られている現状から考えると、そんなふうに見るアニメを限定していくことは当然しなければならない措置なわけだが、しかし、このことは、粗が多く目立つ作品や欠点が際立つような作品、あるいは、そのアニメを見るためには様々な前提条件を知っていなければならないという意味で敷居の非常に高い作品というものを容易に排除してしまうことにならないか、と思うのである。


 こういう点で、僕としては、『マクロスF』や『ダブルオー』や『コードギアス』が上位にランクインしているのは、「まあ、そうならざるをえないだろうなあ」と納得する反面、「これじゃあ、あんまり面白くないなあ」と不満をもらさざるをえないのである。


 個人的には、『墓場』や『夏目』や『true tears』が入っていることは喜ばしいが、『ダブルオー』や『かんなぎ』が入っていることは何となく納得できない。『ダブルオー』を入れるぐらいなら『みなみけ おかわり』のほうを、『かんなぎ』を入れるくらいなら『まかでみ・WAっしょい!』のほうを入れたほうがいいんじゃないかと思っているのだが、なぜこれらのアニメが注目に値する作品なのかを説明するのはなかなか難しいし、おそらく説得力を持つこともないだろう。


 しかし、何となく無難そうな、誰もがみて面白がりそうな作品を選ぶのではなく、一見したところではどこが面白いのか分からないが、様々な可能性に満ちている作品のその可能性を強調するほうが、アニメの面白さとは何かという根源的な問題を考える良い切っ掛けになるのではないだろうか。無難なランキングだけを見ていても、「確かにそれなりに面白いけれど、昔のアニメのほうがやっぱり面白かったなあ」という、僕もついつい口にしてしまう、そんな感想しか出てこないことになるのではないか。


 当然のことながら、僕の観点は歪んでいて特殊なわけだが、しかし僕個人としては、真っ当な正しい評価眼などどうでもいいから、大きく歪んだランキング、「この作品を評価するなんて、ありえないだろう!」と思わず叫びたくなるような、そのようなランキングが見たいと思っているのである。


 もしかしたら、雑誌のほうにこのような僕の要求を満たすような記事も載っているのかも知れないが、あまりにも多くのアニメ作品が発表されている今日という時代にあっては、そうした多様性に対応できるような多様な評価眼というものも必要になるのではないかと思うのである。


 まあ、僕としても、普段あまりアニメを見ない人から「最近何か面白いアニメない?」と聞かれたときに『みなみけ おかわり』の名前を出す勇気はまったくなく、『マクロスF』の名前を何となく出してしまうかも知れない。そういうアニメオタクの弱さみたいなところがこのランキングには反映されているように思うのである。