『宇宙をかける少女』は個人的には気に入っているんだけれども

 かなり溜まっていた『宇宙をかける少女』を何話か消化。
 この作品、ネットでちょっと調べてみたけど、基本的に評判の悪い作品なんだろうか。
 別にアニメーションとしてのクオリティが高いとは僕もまったく思っていないのだが、個人的にはこの作品はちょっと気に入っていて、僕が気に入っている部分というのが、おそらく評判の悪いところと重なるんじゃないかと思う。
 僕が気に入っているところというのは、この作品の不安定なところというか、何か大きなことをやろうとしているのだけれども、それがあまり上手くいっていないところで、そういう空回りしている作品というのは、いくつもあるかも知れないけれども、この作品はそういう空回りの部分とギャグの部分というか、シリアスな物語の展開というものを最初から脱臼させている部分(人工知能搭載のスペースコロニー同士の闘いといったバカバカしい設定など)とが上手くマッチしているような気がするのだ。
 だから、ちょっとうがった見方かも知れないけど、このアニメは、ある種の自己パロディ的な作品というか、これまでサンライズ第8スタジオが作ってきた作品の方向性を最初からパロディ化している作品なんじゃないか、という気がするのだ。
 まあ、『舞-HiME』も、最終回の「堪忍な」があったことだし、徹底的にシリアスになることを避けようとする傾向みたいなのがスタッフの中にあるのかも知れない。それは一種の照れのようなものかも知れないけれど、「まあ結局はアニメなんだし」というような距離の取り方が働いているような気がして、そういう距離の取り方は必ずしも不真面目だとは言えないところがあるように思う(そんなふうに距離を取ってもシリアスな部分が完全に無効化されるわけでもないだろうし)。
 簡単に言ってしまうと、『宇宙かけ』はバランスの悪い作品なんだろうが、バランスが悪いところがこの作品の悪いところなのではなく、そうしたバランスの悪さを徹底できていないところが問題なんじゃないかと思う。
 一方では緻密な設定なり自己実現というテーマなりがあって、他方では「そんな細かいことなんてどうでもいいんだよ」というようないい加減さがある。こうしたバランスの悪さを徹底できていればもっと面白い作品になれたかも知れないが、しかし、まだ12話くらいまでしか見ていないので、最終的な判断を下すのはもう少し先にしよう。