アナクロアニメ『ラブゲッCHU』

 『ラブゲッCHU〜ミラクル声優白書〜』の最近の展開には、僕の予想しないところがあった。それは、あまりにも、恋愛に重点が置かれているところである(ひとりのアニメーターの男性を巡って、二人の声優の女の子が争い合っている)。しかし、よくよく思い直してみると、このようなストーリー展開は、それほど珍しいものではないし、むしろ、ありふれたものだとさえ言える。端的に言って、『ラブゲッCHU』は、古臭い物語だと言える。それは、『ガラスの仮面』や『エースをねらえ!』ほど古くはないが、しかし、現在の潮流からは、ずれていると言わざるをえない。


 現在の潮流というのは、例えば、一方の側に、『NANA』や『パラダイスキス』といった(矢沢あいの)オシャレなサブカル系作品を、他方の側に、『げんしけん』、『こみっくパーティー』、あるいは、『N・H・Kにようこそ!』といったオタク系の作品を置いてみれば、よく分かることだろう。これらの作品に共通するものとは、クリエイター志向とでもいうべき方向性であり、そうした方向性から見れば、努力と根性のスポ根ものが古臭いのは間違いないが、『ラブゲッCHU』で描かれるような純粋性も古臭いと言うべきだろう(『ラブゲッCHU』では、声優という職業が、あたかも聖職のように、高みに置かれていて、声優のアイドル路線が批判的に取り上げられている)。


 逆に言えば、『ラブゲッCHU』の面白さは、このアナクロニズムにあると言える。おそらく、製作者側は、この作品を、現在の萌えブームに位置づけたいのだろうが、そうした試みも、はっきり言って、少しずれていると言わざるをえない。風俗業界が流行を後追いしているような白々しさがそこにはあるのだ。このような面白い作品が出てくるのも、現在のアニメバブルの成せる業なのかも知れない。