2009年秋の新作アニメ感想(その4)――『そらのおとしもの』

これは、なかなか好感の持てる作品だった。 何というか、作品の落ち着きどころというか、あるギャグ作品がいったいどこまで日常から離れ、どこで再び日常に戻ってくるのか、といったような兼ね合いが非常に上手く取れている作品だと思った。 話が進むに連れ…

2009年秋の新作アニメ感想(その3)――『ミラクルトレイン』

まず、駅の擬人化という発想がよく分からなかった。よく分からないというか、駅を擬人化することがひとつの作品をどういう方向に導いていくのか、という方向性がよく見えなかった。 しかし、これは、よく分からなかったから面白くなかったということではなく…

アニメのプリミティブな想像力――ルネ・ラルーの『ファンタスティック・プラネット』について

ルネ・ラルーのアニメをちゃんと見るのはこれが初めてだったが、あの独特の世界観にはやはり強く惹きつけられた。 アニメの世界は、基本的に、想像の世界だろうから、どこでどのような点で、現実から距離を取っているのか、というところが大きな注目点になる…

ゼロ年代末の一風景――『亡念のザムド』の感想

『亡念のザムド』を最後まで見たので、ちょっと感想を書いておきたい。 今年は『エウレカセブン』の劇場版も見たので、『エウレカ』と『ザムド』についていろいろと考えた年であったが、しかし、僕としてはこの路線はちょっといただけなかった。いったいどう…

2009年秋の新作アニメ感想(その2)――『生徒会の一存』と『とある科学の超電磁砲』

『生徒会の一存』。 まず思ったのは、よくこんな作品をアニメ化しようと思ったなあ、ということだ。生徒会室の中でただただお喋りしているだけの作品。第1話では、「ドラマCDで十分」とか「メディアの違いを理解せよ」といった自嘲気味な自己言及ネタがあっ…

2009年秋の新作アニメ感想(その1)――『にゃんこい!』と『けんぷファー』

新作アニメ、『にゃんこい!』と『けんぷファー』を見てみた。 まず、『にゃんこい』だが、これはかなりいいんじゃないかと思った。僕は、いつも、アニメ作品というものをトータルな観点から見ていて、もちろん個人的な好みというものはあるが、作品全体のバ…

『黒神』の感想

『黒神』のアニメを最後まで見る。 この前少し書いたけれども、『黒神』はなかなか面白い問題を提起していたので、非常に楽しんで見ることができた。 しかし、最後のほうは、ドラゴンボール的なバトル展開だったなあ、と。まあ、この作品の見所的なところは…

もう秋か…

またいつものように、前クールのアニメを十分に消化し切れないまま、新しいクールを迎えることになった。 前クールで最終回を迎えたアニメで見終わったのは、『シャングリ・ラ』、『化物語』、『真マジンガー』の三作品くらい。 『シャングリ・ラ』は、『咲…

交換可能な生としてのレプリカの生――アニメ『テイルズ オブ ジ アビス』について

2008年10月から2009年3月にかけて放送されたアニメ、『テイルズ オブ ジ アビス』について、ちょっと思うところを書いてみたい。 このアニメの原作は2005年に発売されたゲームであるが、僕は未プレイである。 ゲーム原作のアニメ作品にありがちであるが、ゲ…

「エンドレスエイト」から立ち上がってくる倫理――平行世界の確率論的な倫理について

先日まで、『涼宮ハルヒの憂鬱』のアニメにおいて、八回にわたって、「エンドレスエイト」のエピソードが放送されたわけだが、ネットでの議論を少し見た限りでは、同じ内容の話を何度も繰り返して放送することに対する賛否が主に話されていて、物語内容につ…

アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の新エピソード「エンドレスエイト」が素晴らしすぎる

『ハルヒ』のアニメを見ていない人がいるのなら絶対に今すぐ見るべき。少なくとも「エンドレスエイト」だけは見るべき。騙されたと思って見るべき。 僕の中では、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』に対する関心なんて、「エンドレスエイト」の前に吹き飛んで…

生きがいとしてではなく緩く生きるために『けいおん!』を見る――ロスジェネ世代であるよりもむしろエヴァ世代として

先週、『バトルスピリッツ 少年突破バシン』のアニメについて少し書いたが、そこで書いたことを自分なりにもう少し発展させてみようと思う。 先週あの記事を書いているときにはあまり意識していなかったが、僕は、あの記事で、対立関係をことさらに構築する…

アニメ『少年突破バシン』の緩くて狭い世界

いつも見ている『バトルスピリッツ 少年突破バシン』についてちょっと書いてみたい。 それにしても、もう40話近くまで放送されているのに、話があまり進んでいないというか、進んでいるにしても非常に緩慢な展開なので、このあとのラストに向けての展開の中…

グロいものについてちょっと考えてみた

ネットを徘徊しているといろいろなものに遭遇するわけだが、たまに、俗に言う「グロ画像」と遭遇することがある。遭遇したくないときに、こういう画像を見ると、かなり気分が萎えてしまうが、しかし、ごくたまに、グロ画像を積極的に見てみたくなるときがあ…

『グイン・サーガ』の思い出

栗本薫が亡くなったということに僕も少なからぬ衝撃を受けたが、しかし、僕が『グイン・サーガ』を読んでいたのは随分昔のことなので、そういう点で言えば、受けた衝撃は小さいものだと言える。何というか、『グイン・サーガ』を夢中になって読んでいた昔の…

『宇宙をかける少女』は個人的には気に入っているんだけれども

かなり溜まっていた『宇宙をかける少女』を何話か消化。 この作品、ネットでちょっと調べてみたけど、基本的に評判の悪い作品なんだろうか。 別にアニメーションとしてのクオリティが高いとは僕もまったく思っていないのだが、個人的にはこの作品はちょっと…

神山健治とネットワークの思想

神山健治関連のアニメをまだいくつか見ているのだが、神山は、ネットワークというものを描き出そうとしているアニメ作家ではないかという気がする。『攻殻SAC』で描かれるような情報ネットワーク(サイバースペース)だけが問題なのではない。ネットワークと…

言葉のない世界が生み出す言葉――ゲーム『ゆめにっき』について

知っている人は知っているだろうが、『ゆめにっき』というフリーゲームがあって、遅ればせながら僕も去年ぐらいにはまって、この作品についていろいろと考えたりしたのだが、そのときはこの作品について何か書いたりはしなかった。それが昨日ふと、この作品…

『涼宮ハルヒの憂鬱』を改めて見て思ったこと

噂の「笹の葉ラプソディ」を見た。『ハルヒ』二期の評価についてはもう少し見てから判断を下したいところだが、このエピソードだけを見た感想を言えば、『ハルヒ』はやはり面白いなあ、という極めて素朴なものである。 しかし、アニメの『ハルヒ』の面白さと…

神山健治作品をいくつか

『精霊の守り人』を7話まで見る。ちょっとした必要があって、最近、神山健治関係のアニメをいくつか見ている。『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』も8話まで見返した。 『守り人』は、ファンタジー作品というところで少し偏見があったので、これまで見るのを…

『みなみけ おかえり』第3話のプリンの話

『みなみけ おかえり』の第7話を見た。マグカップの話が秀逸だと思う。似たような話は第3話にもあったが、今回のマグカップの話もなかなか悪くはない。しかし、第3話のプリンの話は絶妙だったと思う。 マグカップの話よりもプリンの話のほうがいいと思うのは…

日記を始めてみる

長めの記事をそれなりにちゃんと書こうと思って、それでいろいろと考えたり、参考になりそうな本を読んでいると、そのうちに書くのが面倒になって、結局書かなくなるという悪いパターンにまた入りそうなので、今度から「アニメ消化日記」と題して、短めの記…

デジタル技術時代のテレビアニメ――リミテッド・アニメーションの現在

現在の日本を脱工業化社会というふうに言うことはできるだろうが、こうした社会の変化とアニメーションを見ることとの相関関係はどうなっているのか、ということが最近気になっている。 テレビの登場というものが非常に大きいだろうが、テレビでアニメを見る…

『エヴァの喰べ方、味わい方』(その3)

エヴァでは全編にわたり宗教・心理学・生物学・物理学からの用語がちりばめられている。真面目に語句を深読みすればするほど、次々といろいろなメッセージを読みとってしまい、解釈が多様に生まれ、カレードスコープのような謎の深みにハマっていってしまう…

われわれの社会的な関係性はどうなっているのか――『コードギアス』についてのちょっとしたメモ(その2)

最近考えていることや興味のあることを、取りとめもなく、だらだらと書いてみたい。 先日『コードギアス』についてちょっと書いたわけだが、なぜ再び『ギアス』に興味を持ち始めたかというと、最近またしても、人間と人間との関係性について考えているからで…

新しい価値基準を創出するために――『コードギアス』についてのちょっとしたメモ

『コードギアス』には、現代の日本社会(あるいは日本人)に対するちょっとした批判のようなものが見出せる。それは、言うなれば、政治に対する無関心さへの批判のようなものである。ブリタニア帝国によって占領され、「エリア11」と呼ばれる日本の姿という…

『エヴァの喰べ方、味わい方』(その2)

主人公のシンジは人とのつきあいが苦手で、生の存在不安に揺れ続け「僕って何なのだろう?」と自問を繰り返していく。彼らの心の世界は「自己」「自我」が直接身体的にかかわる身近な関係だけに囲い込まれていて、まるで社会や国家、あるいは政治といった観…

『交響詩篇エウレカセブン』の劇場版を見てきたけれども

それでエントリーをひとつ書いてみようと思っていたのだけれども、どうもあまり気持ちが乗らないというか、『エウレカ』を評価するにしても叩くにしても、どちらにしても、大した実りがないというか、何となくどうでもいい気分になってしまっているところが…

アニメ『戦国BASARA』についてのメモ

『戦国BASARA』の見所とは、超人的な能力を持つ武将たちが、果たしてどんなふうにその力を発揮するか、それをどんなふうに演出しているか、そうしたところにあるだろう。 『戦国BASARA』においては、このアニメ作品の原作がゲームであるということを考慮に入…

『エヴァの喰べ方、味わい方』(その1)

エヴァはTV放送が開始された時点で、すでに制作の遅れは危機的な状況を呈していた。(中略)したがって、問題の最終二話は、単純に監督の強い自己表現だけでは説明できない、外在的な条件も大きかったと見るべきであろう。 (いがらしもも「庵野の開かれた態…